当財団について

設立の趣意

一国の繁栄の基盤は人間生活との調和を伴う総合的な産業経済の発展にあり、その産業経済の発展は、科学技術の進歩によるところが大きく、この進歩の成否が国の将来の隆盛を左右すると申しても過言ではないと考えます。

今や、世界はあげて技術革新の時代であり、ことに欧米諸国における現状はまことに目ざましく、我が国がこれに遅れをとらないようにすることは容易ならないことであります。

科学技術および経済の面での熾烈な国際競争のなかにあって、資源・エネルギーの制約、環境の悪化等の現在的諸問題を解決し、国民福祉と国民経済の着実な発展を図っていくためには、なによりも我が国の科学技術水準の向上に努めることが急務であると痛感するものであります。

このような現状にかんがみ、ハニー化成株式会社社長吉田昌二氏(故人)およびハニー化成株式会社の醵出資金により当財団を設立して、いささかでも我が国の科学技術振興の一翼をになわんとするものであります。

しかし、これまでの科学技術振興関係の諸団体で既に研究テーマを中心とする助成がすすめられているので、当財団は有為の研究者が最先端の海外科学技術を吸収してさらに国際的視野を拡げることを目的とし、主として国公立研究機関、国公私立大学などに所属する若手研究者の海外研究、あるいは国際研究集会出席などを助成します。あわせて研究費補助、科学技術の知識および思想の普及等に努め、我が国科学技術の一層の発展に寄与したいと考えるものであります。

設立者の言葉

現 公益財団法人吉田科学技術財団 名誉会長 吉田 昌二

元 公益財団法人吉田科学技術財団
名誉会長 吉田 昌二

私の抱き続けた理想が「吉田科学技術財団」誕生という形で実現されて、早や28年を経過しました。その間かなりの実績を挙げることが出来ましたことは設立者として誠に喜ばしく、関係者各位のご尽力に対し厚く御礼申し上げると共に今後なお一層のご支援をお願いする次第であります。

私は資源の乏しい我が国が、経済大国としての地位を維持発展させて行くには技術開発を有効に推進する他ないという信念をもっております。従って私の経営するハニー化成株式会社では社内の若手研究者を相次いで海外に派遣する一方、海外との研究協力、交流に努め、国際的な視野に立って物事を考えながら研究開発に力を注いで来ました。

この財団の設立はハニー化成株式会社の利益の一部を社会へ還元する意味のものでありますが、上述の考え方を社外にも及ぼし、広く一般の科学技術研究者の海外研究、海外出張等を援助することにより、我が国の科学技術の発展に寄与することを期待しております。

私は国際的な場所へ出る場合、最も重要なこととして、「立派な人格を備えていること」が必要だと思っております。健全な身体と精神を養い、不平を抱かず、常に感謝の気持を忘れなければ、自ら立派な人格も備わり自然に他人と笑顔をもって接することが出来、外国人との交友もスムーズに進展するでしょう。研究仲間の間で人気も昂まり、研究上の利益も増進することに間違いはないと思っております。

当財団を利用し海外出張される各位は、折角の機会を十二分に生かされ、我が国のみならず世界の技術革新のため大いなる貢献をされるよう祈ってやみません。

(平成16年1月記)